日本各地の草原や路傍に生育し、高さ数十cmになる多年生草本である。茎は細く、他の植物にもたれるか、地表を這う。花は紅色と白色があり、紅色は西日本に多く、白色は東日本に多い。岡山県では混生しているが、紅色の方が多い。
葉におよそ20%のタンニンを含み、その主成分はゲラニイン。他にコハク酸、没食子酸、ケルセチンを含む。
地上部を薬草に用いる場合には、最も成分が多く含まれて勢いのよい、植物自体の全盛期に採取する。
ゲンノショウコは、昔から下痢止めの薬草として使われてきました。救荒本草(1424年)という古い中国の本に飢饉の時に食べられる植物一覧に良く似た植物が掲載されており、飢饉の際に食べたところ、下痢が治ったことから、薬草として認められるようになりました。
この植物は日本の民間薬の代表で、貝原益軒(かいばらえきけん)が記述した「大和本草(やまとほんぞう)」(1708年)のなかで「陰干しにして粉末にし、湯にて服す。能く痢を冶す。赤痢に尤も可也。また煎じても或は細末にし丸薬として皆効果がある。本草には此功能をのせず。本草は毒草類にのせたり。然れども毒なしという。一度植えれば繁殖し除き難い」と記述されています。
また、小野蘭山(おのらんざん)が記述した「本草網目啓蒙(ほんぞうこうもくけいもう」(1803年)には「根苗ともに粉末にして一味用いて痢疾を療するに効あり、故にゲンノショウコと言う」という記述があります。
ゲンノショウコの主成分である タンニン
が消化管粘膜に付着して被膜を作り、収れん作用を示して腸管ぜん動を抑制し下痢を抑える作用があります。ゲンノショウコの仲間のイチゲフウロ、タチフウロ、コフウロ、シコクフウロ、アメリカフウロ、ヒメフウロなどは、ほとんどゲンノショウコと同じ目的で用います。食あたり、下痢、慢性の胃腸病、便秘に効き目があり、煎じる場合は、時間をかけて十分煎じる必要があります。
下痢止め
⇒1日量20グラムに、水0.5リットルを加えて、煎じながら約半量まで煮詰めたものをこして、温かくし、適宜2回に分けて服用します。胃腸の弱い人は、お茶代わりに飲んでもよく、利尿の目的で使用するときは、10〜15グラムを1日量として、0.5リットルの水を加えて、5〜10分煎じ、3回に分けて食間に服用します。
高血圧予防
⇒ゲンノショウコ10グラム、ドクダミ10グラム、決明子(けつめいし)を少し炒ったもの5グラムを土瓶などで煎じて、お茶代わりに飲むとよく効くとされます。
しぶり腹、冷え性、婦人の血の道
⇒ゲンノショウコ風呂(ゲンノショウコ100グラムとヨモギ100グラム)を用います。